バングラディシュ視察記


【いざバングラディシュ】

飛行機をでると、いつものアジア特有の空気を感じ「あぁ〜今年もアジアにきたなぁ」と感じます。バングラディシュも例外なく空気を感じます。いい感じです。しかし、今年は例年と異なりかなり緊張していました。なぜか・・・

今までは、他の団体と一緒のツアーだったり、現地に知り合いがいて空港到着から帰りまでサポートしてくれるコーディネータがいたり、また、ガイドブックも簡単に手に入る環境でした。
しかし、今年は志民アシストネットワーク単独での海外視察と言うこともありますが、いつも海外に出かけるときに持っていくガイドブック「地球の歩き方」が発行されていない国「バングラディシュ」の訪問なので、まったく勝手がわかりません。

そもそも、バングラディシュ訪問を決めたときに、いつもどおり書店に行ってガイドブックを探したのですが見つけられず、インターネットで探したところ唯一見つけたガイドブックの発行日は2年前でした。背に腹はかえられず購入しましたが、そのガイドブックには「観光産業が無い国」であるというようなことが書いてあります。またインターネットで検索しても、バングラディシュに関する情報は非常に少ないようです。

さて、バングラディシュと言うよりは、「東パキスタン」といったほうがわかりやすい何も知れません。地理的には世界地図のインドの右肩にある国です。世界最貧国と言われていますが、人口密度は世界でもトップクラスです。通用語はベンガル語、人口の9割がイスラム教信者、1人あたりの2006年度の国民総生産(GDP)は487ドル(ちなみに日本は約34000ドル)、国民の6割が農業に従事している、ざっとそんな国です。
もう少しくだけて言えば、日本の国土の4割ぐらいのところに、日本とほぼ同じ人(約1億4000万人)が住んで、毎年210万人ずつ増加しています。国民の9割はイスラム教徒で、国民の6割は農業に従事しています。日本人の在留者は約500人という国です。

同じように貧しいといわれているラオスよりも更に貧しいと統計数字は語っています。


【学校訪問】

さて、今回は川口市内に住んでいるバングラディシュ人の紹介で、学校3校を訪問しハッピーバッグと共に文房具750セット、ゲームボード4セット、バレーボールとサッカーボールクリケットを届けることが第1の目的です。

まずは、目的を果たすべく首都ダッカから約300キロ離れたボリシャルを訪問することになります。が、その前に荷物の積み込みです。プレゼントする文房具その他は事前にお願いしてありましたが、その量が予想外に多く改めて車1台を手配するという予想外の出来事で出発時間は3時間ほどずれ込んでしまいました。

訪問した学校は小学校が2校と女子中学校が1校、「夜の学校」と呼ばれているボランティアの先生によって運営されている小学校レベルの学校が1校です。

小学校と「夜の学校」は、首都「ダッカ」から約300キロ離れたボリシャル(Barisal)と呼ばれる地方都市にあります。

現在、バングラディシュは教育に熱心です。政府はもちろん、国民の誰もが教育を大事にしています。小学校は5歳から始まりますが、ヒットしているアニメの影響もありますが子供たちの多くは「学校に行きたい」と思っているようで親たちも「行かせたい」と思っています。そして、地域の大人たちも、自分の子供たち以外にも「教育を受けさせたい」と願っています。

今回訪問したうちのひとつ「夜の学校」は、通常の学校に行けない子供たちや大人たちのために午後2時から午後5時まで、ボランティアの先生たちのよって運営されています。「勉強したい」と思っているならば子供たちはもちろん、大人たちも入学できます。住み込みで働いているメードの13歳ぐらいの女の子も、働き先の好意でこの学校に通うことができて現在は2年生だそうです。

この学校の先生たちは、午前中は公立の学校の先生として働き、終わった後にこの学校に来て交通費のみで教鞭をとっているということです。

今回、荷物の関係でハッピーバッグを140個しか持っていけませんでした。その為、生徒全員にいきわたらないのでどのようにしたら良いかと、相談したところ迷わず「成績の上位の子供たちにあげる」と言う答えが返ってきました。「平等」教育に慣れてしまった私たち(私の頃は、できる順が普通でしたが・・・)はちょっと驚きましたが、成績が優秀な子が優先されることには子供たちも納得ずくのようで、かえって、自分も頑張って上位の成績をとろうと努力しているようです。

翌日訪問した女子校は、現在は暫定政府の顧問を務めているかたの奥様(故人)が地元の女の子たちに教育を受けさせたいという思いで、個人の資金で作ったそうです。先生たちの給料もすべて個人の資金で運営されています。経営はなかなか大変なようですが、亡き奥様の遺志だからと頑張っています。後日、ダッカのご自宅を訪問したとき、日本での学校運営や、教育について熱く語り合いましたが、教育に寄せる熱い思いがひしひしと伝わってきました。

この女子校を訪問したとき、ボートで到着した私たちを船着場から学校まで制服で整列して迎えてくれた、女性と達の目はキラキラとしていました。その後教室での授業を見学しながら私たちの「将来はどんな仕事をしたいか」という質問に多くの生徒たちが「学校の先生になりたい」と答えていたことが印象に残っています。

学びたいという子供たちの気持ち、学ばせたいという先生や地域の大人たちの気持ちがひしひしと伝わってきて、この子供たちが数年後に大人になった後、この国は有能な人材にあふれ成長していくのだろうと感じます。

【バングラディシュの風景】

ある朝、ダッカの市場を見物に行きました。市場を探すには、リキシャと呼ばれる自転車に荷台がついた乗り物に多くの野菜などをつんだ人たちを逆にたどればわかります。ラオスでもそうですが、鶏などは生きたまま売っています。それと同じように山羊が繋がれて売られています。

そういえば、ボリシャルへの道のりで放し飼いにされた牛と共に、山羊を見かけました。山羊は、ミルクを飲んだり、チーズを作ったり、子を産ませて売って家計の足しにしたりして役に立っているそうです。

子山羊は1匹あたり3000〜5000円程度で購入できるのだそうですが、それがこの国の多くの人たちの月収に相当するとしたらやはり高い買物なのでしょう。子山羊をそだて、栄養状態が良くなり、ミルクやチーズを作り、売ったりすることで現金収入に結びつき、子供たちが学校にいけるようになれば、子供たちの笑顔がもっと見れるかなぁと思ったりもしました。

バングラディシュを知るにはとても短い期間でしたが、今回はじめて訪問しましたが、この国の意気込みや勢いには圧倒されてしまいます。危ない、怖いという先入観も払拭され、マンゴーの美味しいこの国にまたきたいと思いながら、深夜のダッカ空港を飛び立ちました

【あとがき】

今回の視察後、山羊での支援を考えています。具体的な方法は見えていませんが、「やぎプロジェクト」として進めていきたいと思います。
今回の視察では現地の旅行会社バングラディシュトラベルホームのみなさんには大変お世話になりました。大変感謝しております。

http://www.bdtravelhomes.com/ バングラディシュトラベルホームズ